遼くんビックリ胴上げ!マスターズも残った

石川遼(17=パナソニック)がマスターズへの夢をつないだ。男子ゴルフツアーの日本シリーズJTカップ最終日は6日、東京都稲城市の東京よみうりカントリークラブ(7016ヤード、パー70)で行われ、石川は1打差の3位から逆転優勝を狙ったが、3バーディー、3ボギーの70とスコアを伸ばせずに5位。来年のマスターズ(4月6〜12日、米ジョージア州オーガスタナショナルGC)出場条件となる世界ランク50位以内は厳しくなったものの、今季男子ツアーに“革命”を起こした17歳は最終戦まで非凡な活躍を見せ、マスターズの特別招待を受ける可能性を残した。

 気がついたらプロたちの手で空を舞っていた。韓国で兵役につくドンファン、賞金王に輝いた片山の胴上げに続き、誰からともなく「次は遼だ!」という声が起こった。

 「皆さん力があるので、今までで一番高く上がりました。僕は何もしてないのにどうなんでしょう」と苦笑いしたが、何もしていないわけがない。17歳のルーキーは2勝を挙げて年間獲得賞金が1億円に到達。賞金ランクは5位に食い込んだ。ツアーの精鋭26人が顔をそろえた最終戦でも5位。今季男子ツアーを盛り上げた労をねぎらう胴上げだった。

 最終戦の頑張りで、来年のマスターズ出場への夢もつないだ。現在世界ランク66位の石川は、今大会優勝していれば出場条件を満たす年末での世界ランク50位入りが濃厚だった。5位だったことで60位前後にとどまりそうだが、加速度的に成長する17歳にはマスターズ委員会から特別招待を受ける道が残されている。

 日本ゴルフツアー機構(JGTO)の小泉直会長はこの日「可能性はあると思います。委員会は世界中の選手を調べてますから」と話し、複数のツアー関係者も「あとは委員会がどう判断するか」と口をそろえた。事実、昨年のマンシングウェアKSBでツアー最年少優勝を飾った後には、委員会から関係者に「どんな選手なのか?どんな試合で勝ったのか?」と問い合わせが寄せられていた。すでに“Ryo Ishikawa”の活躍はオーガスタに伝わっている。今季賞金ランク5位で招待に足る資格が整ったことは間違いない。

 04年には当時世界ランク178位の張連偉が特別招待を受け、中国人として初めてマスターズに出場した。アジアマーケットを意識してか、今年もJ・M・シン、P・マークセン、W・リャンとアジア3選手が同枠で出場。当時の世界ランクはシンが81位、マークセン79位、リャン91位。いずれも石川よりも下位だった。最近の日本人では07年に谷原秀人が前年の全英オープン5位、日本ツアー賞金ランク2位の実績で招待されたが、世界ランクは97位だった。

 「シーズンは終わったけど自分のゴルフは終わってない。きょうから練習を続けていきたい。去年の自分よりも今の自分の方が楽しみだとはっきり言える」。招待選手の発表は例年1月下旬。あこがれの舞台に立つ日を夢見て。オフに入っても石川の日進月歩は続く。